加齢による関節の痛みはもう治らないと思っていませんか?
歳を重ねるとともに出てくる肩や腰、膝の痛みは嫌なものです。転んだり無理な運動をしたわけでもないのに、ある朝起きた時に何となく膝や腰に違和感を感じて「何だか今日は疲れてるかも」と思い、「無理をしないで今日1日過ごせば明日には治ってるだろう」と軽く考えてその日は大人しく過ごします。
そして翌日の朝、なぜか前日の違和感は薄れることなく残ったまま、なんてことがいつの頃からか起こるようになります。5年前には感じたことのない”違和感”です。それは2日経っても3日経っても取れることはありません。
そして1週間、1ヶ月も過ぎると「もしかしてこれが加齢ってこと?」と自分では思い始めますが自分では決して認めたくないので、誰に相談することもしないで1人で悩み続けることになるのです。
それが半年、1年と続くとさすがに「もう治らないかもしれない」「この痛みや違和感とは死ぬまで付き合っていかなければいけないのかな?」と思い始めます。おそらく多くの中高年の方が遅かれ早かれ経験しているのではないでしょうか?
子供の頃とは違うんです
小中学校、いや高校生の頃には部活動の練習で筋肉痛になることはよくありました。夏の合宿では普段の練習ではやらないようなハードなトレーニングをして(やらされて?)歩けないほどの筋肉痛に見舞われたこともあります。
それでも一晩寝て翌日、長くても2日ほど経てば筋肉痛になったことなど忘れてしまっていました。あの頃は「痛みは治るもの」だったのです。
それが学校を卒業して就職する頃になると、仕事が終わった後に「あー疲れた、腰痛てェ〜」などということがあります。それでも「今日は疲れたから帰りに一杯…」などとお酒でも飲んで家に帰ってぐっすり寝れば翌日には疲れなど忘れて出勤していたものです。
それがやがて社内でも中堅になり管理職に抜擢されるようになるとその疲れがなかなか取れなくなってくることは皆さんも経験あるでしょう。
「これはきっと精神的な疲れに違いない」などと思い始めます。仕事の責任も重く仕事量も増える上に、部下の管理にも気を遣って夜もぐっすり寝られなければ疲れも取れないよな、などと自分を納得させようとします。
それでも将来の出世のために仕事の手を抜くわけにはいきません。私も、休みも取れずに月に200時間を超える残業が1年以上も続いた時期には「もうダメになるかもしれない」と本気で思ったものです。
今にして思えばそれが”昭和”という時代でした。決して自分だけが辛いわけではなく周りの同僚たちも同じような生活をしていました。だから弱音を吐くわけにはいかなかったのです。
やがて中年になると体が弱っていることを自分でも感じる時がきます
職場には毎年、新入社員が入ってきます。見た目もそうですが何といっても体力があって若さがみなぎっています。
自分もまだ若いつもりで同じことをやろうとしますが、ふとしたときに「なんでこんなことも出来なくなっちゃたんだろう?」と思う瞬間があります。
「最近忙しくて運動不足だからなぁ」などと言い訳がましく独り言を言っていると若手の社員が ♪ 24時間戦えますか〜 ♪ などと歌いながら栄養ドリンクの差し入れを持ってきてくれたりします。「バカにすんな!俺はまだ若いんだ!」という顔には疲れが滲んでいるのです。そんなある日、
朝、家の洗面所で顔を洗っているとふとしたことで「グキッ!」と嫌な感触とともに腰あたりに激痛が走ります。もはや立つことは愚か痛みで動くことすらできません。
「これが噂に聞いていたギックリ腰か?」と気付きます。痛みが少し和らいだ時を見計らい、這って携帯電話をとって「すみません、今日は腰が痛くて…お休みをいただきたいんですが…」と言う電話の向こうで、「えっ?もしかしてギックリ腰ですか?お大事に」と若い社員が言っています。
彼らの方がよっぽど慣れたものです。こちらは痛みで冗談を言う気にもなれずに「じゃ、そういうことで」などと返事をして居間の床に寝転がるのがやっとです。
午後になったら、家族に頼んで何とか近所の整骨院まで連れて行ってもらいますが、診断はやっぱり「ギックリ腰」です。
診察した若い医師は淡々と「加齢ですから仕方ありませんね。痛みが少なくなったら軽い運動でもした方がいいでしょう」と他人事のように言い放ちます。そう、彼にとってはまだ他人事なんです。えぇまだ…。
もう一生治らないのかなぁ
ひざや腰、股関節、首や肩などの関節の痛みは加齢とともにやがて悪化していって根治することはなく最終的には手術を受けるしかない、そう思っている人も多いのですが、ちょっとした運動を日々続けることで痛みが軽減したりすっきり消えることもあるのです。
「なぜ、ひざが痛むのかというと、原因は
・軟骨がすり減り、骨同士がぶつかって骨が傷ついている場合
・削れた軟骨がひざ関節を包む滑膜を刺激し、炎症を起こす場合
・痛いひざをかばって歩くことで、腱に炎症が生じている場合
の3つが考えられます。腰痛では
・背骨の椎間板(軟骨)がはみ出して神経を圧迫している場合
・反り腰で背骨が腹側に反りすぎて神経を圧迫している場合
などが考えられます。これは関節の痛みではなく背骨の問題です。
また足の付け根や太もも、骨盤、お尻、膝が痛む時には
・変形性股関節症
などが考えられます。これは加齢や病気などで股関節の軟骨がすり減り、関節炎を起こして関節が変形していく病気です。もっともこの病気は男性では1%、女性で6%程度と言われていますから多くの人がこの病気というわけではなさそうです。
しかし変形性股関節症だった場合、関節に体重の負担がかかるようなジョギング、登山やハイキングなどの運動は症状を悪化させる要因にもなります。また体重の負荷がなさそうなスイミングやエアロバイクなどもやり過ぎはよくありません。でも負担の少ない運動なら痛みが和らぐこともあるようです。
いずれにせよ、ひざの痛みから立つことも歩くことも億劫になると関節がこわばって筋力が低下し、ますます症状が悪化していくこともあります。こうした痛みは、無理をしない程度に関節を動かすことで解消されるといいます。
ひざの痛みはできるだけ動かずに安静にしていれば治ると考えている人もいますがそれは間違いです。
もちろん、寝ているときも痛い場合は迷わず病院に行ったほうがいいですが、多少の傷みであれば「ゆっくりと軽く動かして治す」のが国内外の整形外科学会で推奨されている治療法です。かといって強すぎる刺激は禁物ですので、無理のない範囲で脚の筋力アップとひざの裏のストレッチを試みてはいかがでしょうか?
ひざ関節の痛みがスッキリ消える「超簡単ストレッチ」
簡単な運動では次のようなものがあります。
1️⃣太もも力で「膝裏伸ばし」〜脚の筋力アップと膝裏のストレッチを同時に行う運動〜
・ダイニングにあるくらいの椅子に浅く腰掛けて片足を曲げ、
反対の脚の太ももに力を入れながら膝の裏を伸ばしていく
・伸ばした状態で2秒キープ
・これを左右で10回ずつ、合わせて20回程度が目安です。
これは、体重をかけたり階段を上り下りしたりするときにひざが痛む症状が改善されます。
これが痛くてできなければ次の「踵滑らせ伸ばし」をしてみてください。
これも太ももの筋肉が鍛えられ、曲げ伸ばし時の痛みやこわばりが緩和されます。
2️⃣踵滑らし伸ばし 〜膝の裏をしっかり伸ばして関節の柔軟性を高める運動〜
・両脚を伸ばして床に座り片足の膝を立てて太腿に添えた両手の親指で
太腿を前に押して踵を滑らせながら脚を伸ばしていく
・これを左右で10回ずつ、合わせて20回程度が目安です。
※痛みがある場合は決して無理をしないでください

変形性ひざ関節症には「痛みの周期」があることがわかっています。痛みが弱くなったときにこれらの体操を積極的に行えば、一生自分の脚で歩くことも十分に可能です。
股関節が楽になる
肩や首、股関節の痛みに悩んでいる人には骨格を楽に動かすための「骨ストレッチ」に是非チャレンジしましょう。体の中心にある骨格や関節に注目し、全身のバランスを取っていくというのが骨ストレッチの基本的な考え方です。骨格を整えることで体のバランスの歪みを治し、痛みを取ることを目指していきます。
骨ストレッチの基本ポーズは、
3️⃣骨ストレッチの基本ポーズ
まず片方の手の親指と小指をつないで輪をつくり反対側の手の親指と小指で
手首のグリグリした部分を押さえることから始めます。この状態で、
4️⃣手首ブラブラ
手首ブラブラを行うと肘から肩の骨格が整い、結果として肩や首の痛みや凝りを
防ぎやすくなります。
体の末端(手首)の動きを制御しながら手首を動かそうとすると自然と全身の
連動性が生まれて体幹がほぐれるものなのです。

この骨ストレッチで体幹の動きを改善すれば、股関節の痛みにも効果があります。股関節というと多くの人が鼠径部と勘違いしますが、じつは股関節はお尻側にあるのです。股関節がスムーズに動かないと歩いたり階段を上ったりする動きが辛くなります。股関節を楽に動かすメソッドが、5️⃣鎖骨ひねりです。
5️⃣鎖骨ひねり
・肩幅に脚を広げて立って鎖骨の上にそれぞれ同じ側の手の小指、下に親指を置きます。
・脇を軽く締めて左右に上体をひねります。
・左右各7回程度が目安です。
胸骨と上腕骨をつなげる接点にある鎖骨を意識して動かすと腕と腰がつながって体幹がダイナミックに動き始めます。ひざを軽く曲げて行うと、股関節がものすごく動くことを実感できるはずです。
さらに脚を外向きと内向きにハの字にする2パターンを行うと股関節だけでなく、足関節やひざ関節が自然に動いて骨格のバランスが取れていきます。骨格が動くことで硬くなっている筋肉が緩んでいきます。緩んだことで凝りや張りが取れて痛みの緩和につながっていくのです。
今回紹介した方法は誰にでもできる簡単なものばかりですので、毎日続ければ人生が変わる瞬間があなたにも訪れるかもしれません。
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