”法定伝染病”って変わったの?
私が子供の頃、もう数十年も前のことですが伝染病予防法上の法定伝染病といえばペストやコレラ、赤痢(せきり)、天然痘(痘瘡)、日本脳炎などでした。
現在では「感染症法」で第1類から第5類までが定められていて、今流行りのCOVID-19(いわゆる新型コロナウイルス)は第2類(2023/5/6現在、2023/5/8からは第5類に移行予定)、ペストは第1類、デング熱が第4類、季節性インフルエンザは第5類と定められています。
それぞれの位置付けによって対策が求められていて、例えば第2類なら入院(都道府県の知事が必要と認めるとき)や建物への立入制限や交通の制限、就業制限などが求められることがあります。
ご存知のように各自治体から「緊急事態宣言」が出されて飲食店などの営業制限が勧告されたりしたのは記憶に新しいところです。
人の伝染病に関する伝染病予防法は1998年に廃止され新たに感染症法が制定されたため、現在では”法定伝染病”といえば家畜の伝染病の発生・まん延を防止するために、家畜伝染病予防法で定められた鳥インフルエンザや口蹄疫、豚熱など28種類が定められています。
もちろんこちらも私たちの日常生活にも大きな影響を及ぼし、昨年末からの鳥インフルエンザによるニワトリの大量処分で鶏卵や鶏肉が品薄となって、価格の高騰はもとより多くの飲食店などで鶏卵や鶏肉を使ったメニューの提供を取りやめる事態にまでなっています。
新型コロナ(COVID-19)が第2類から第5類に変わると何が変わるの?
現在は朝晩のニュースなどで「各地のコロナ感染者数」などという報道が毎日されていますが、第5類への移行後はどうなるのでしょうか?
第5類への移行を前に足元では感染者数が微増しているという報道もありますが、5/8以降はどうなるのか疑問も湧いてきます。まずは第5類への移行後に政府発表や医療体制がどう変わるのかまとめてみました。
■感染状況の発表は? | |||||
1 | 5/7までの分を5/8(月)に発表して終了 | ||||
2 | その後は週に1回、毎週金曜日に「定点把握」による発表が始まり初回は5/19の予定 ※「全数把握」 医療機関や自治体が感染者数などを把握・報告して毎日公表する方法 ※「定点把握」 指定された5000の医療機関が1週間分の感染者数を翌週にまとめて報告する方法 ※ 厚労省では過去のデータと比較できるように、指定した5000の医療機関での「第8波」から現在までの感染者数の推移データも 参考として発表 | ||||
3 | 死亡者数の発表 | 5/7までの分を5/8(月)に発表して終了 | |||
4 | 入院者数、重症者数の発表 | 医療のひっ迫状況を把握するためにすべての医療機関からの報告をもとに毎週1回継続 | |||
5 | 感染時に受けられる医療機関 | 約42,000(現在) → 約64,000(第5類移行後) ※都道府県が医療機関に対して受け付ける患者をかかりつけの患者に限定しないように促す | |||
6 | 入院について | コロナ病床を確保してきた約3000の医療機関が中心となり約8200あるすべての病院で受け入れ |
■医療費負担は? | |||||
内容 | 2023/5/8以降 | ||||
7 | 各自治体による検査キットの配布 | 終了 | |||
8 | 民間の検査所でのPCR検査 | 有料 | |||
9 | 医療機関で行う検査キットによる検査 | 自己負担 | 抗原検査の場合 | 2,271円 | 3割負担 |
757円 | 1割負担 | ||||
PCR検査の場合 | 3,489円 | 3割負担 | |||
1,163円 | 1割負担 | ||||
10 | 外来診療の窓口負担 | 解熱剤・コロナの治療薬(ラゲブリオ)を処方(検査料を含む) | 最大4,170円 | 3割負担 | |
最大1,390円 | 1割負担 | ||||
11 | 高額なコロナ治療薬 | 9月末まで引き続き公費で負担 | |||
※公費負担がなくなった場合 → 新型コロナの治療薬「ラゲブリオ」の場合、自己負担は最大で約3万2470円 |
■療養中の外出自粛は? | |||||
12 | 療養期間中に外出を控えるかどうかは、5月8日以降は個人の判断 | ||||
厚労省の推奨:▽発症の翌日から5日間は外出を控えること ▽症状が軽くなってから24時間程度は外出を控えること | |||||
13 | 宿泊療養施設は? | 原則終了 | |||
14 | 保健所の健康観察 | 終了 | |||
15 | 保健所での感染証明書の発行 | 終了(※必要な場合は医療機関で) | |||
16 | ワクチン接種は? | 2024年3月までは無料(その後は未定) | |||
17 | 緊急事態宣言や空港等での水際措置・感染者や濃厚接触者への外出制限 | 廃止 |
ということになります。基本的には同じ第5類に位置付けられている従来の季節性インフルエンザに準じた対応ということになるようです。いずれにしても第5類への移行によって非常事態宣言で出されたような移動や営業の自粛勧告はされなくなるようです。
それでもしばらくは様子見?
新型コロナの感染拡大で海外への渡航も制限(現実的には航空機が飛ばなかったので行かれなかった)されていたので、日本以外の様子は報道やネットを通じた情報しか入ってきませんでした。
ですから海外の様子を直接知るすべもありませんでしたが、各社の報道によれば感染拡大の初期には欧米各国での感染者数や死者数が大きく報道されました。
それと比較して日本での感染者や死者数が1/100程度であったため、「日本は公衆衛生が進んでいるから」とか「日本人はマスクにあまり違和感がなく、多くの人がマスクをしてるから」だとか言われましたが、本当のところはよくわかっていません。
日本人はマスクに違和感を感じないというより、日本人に特有の「みんなと違うことをするといじめられる」という「同調圧力」が社会をマスク着用や外出自粛、オンライン授業、リモートワークに促して人との接触機会が減ったことによるものは大きな要因ではないかと考えられます。
新型コロナは感染症ですから、他人と接触する機会が減れば当然感染機会も減って感染は抑えられます。ひと頃は毎日が超絶満員だった通勤電車に、コロナの感染が拡大している時には座って通勤できたという信じられない状態でした。
立錐の余地もない満員電車の車内だったら上にあげた手を下ろす場所もなく、隣の人ともギッチリと押し合いへし合いで顔と顔の距離も10〜20センチという状態でしたから、日本でもみんながやる気になればできるじゃんなどと思ったものです。
今年に入って感染者数も減少し始め重症者や死亡者の数も格段に減り、政府から「マスクの着用は自己管理で」という発表もあって屋外では憚ることなくマスクなしで歩いても睨まれるようなことはほとんどなくなりました。
それでもやはり生粋の在日日本人である私は「屋内に入るときはマスク」「人混みを歩く時にはマスク」とちょっとした同調圧力も感じつつ、欧米人のように「マスクなんてもう絶対にしないぜ!」などということもなく、あたりを窺いながら生活する毎日を過ごしています。
そんな自分を見ていると「やっぱりオレはニッポン人なんだな」と感じますが、常に極端な行動を忌み嫌う日本人はしばらくの間、感染状況や周りの人の様子を見ながらの生活が続きそうです。
観光や経済も徐々に回復していくと思われ…
コロナ禍の自粛で観光や飲食業界には大きな爪痕を残しました。私も感染が拡大していた頃には旅行や外食をやめて家に引き篭もる日々でしたが、昨年の秋くらいに感染の波が治まっているタイミングで観光に行ったりしました。
もちろん旅行先ではいつも以上に感染対策を心がけ、ワクチンも接種した上で万全を喫したつもりです。訪れた各地ではまだ厳重な感染対策が取られており、イベントの中止や店舗の休業・廃業などが見られ心を痛めたものです。
それでも感染の減少も本格的になってきたこの春にも再び旅行に行ったりしました。飛行機や列車は以前のように混み合っていましたが観光地はまだ完全に元気を取り戻してはいないようです。
でもいつまでも燻っていては前に進みませんが、いきなり大声をあげて走り出すのではなく、ここはひとつ日本人らしく少しずつでも前に進みながら上品な旅行や外食をエンジョイしたいものです。
今までなら「モッタイナイ」なんて言っていたものでも「コロナの時に我慢したぶん」だと思って少し贅沢に楽しんでみたいと思う今日この頃です。
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