古くて新しい厄介な害虫 トコジラミにご用心!

日々是休日

トコジラミ(南京虫)って何?

かつては「南京虫(なんきんむし)」とも呼ばれていた「トコジラミ」。シラミとはいうものの分類的にはカメムシの仲間です。

昼間は布団やベッドの隙間などの暗い場所に潜み、暗くなって人々が寝静まった後に暗所から這い出して人間やペットの血液を吸います。

蚊や他の外注と同じように刺されると強い痒みがあるのは人もペットも同じです。刺されると赤っぽい発疹ができ数日後に激しいかゆみを発症します。

かゆみはアレルギー反応によるものので個人差があります。人によっては眠れないほどかゆみが強くなったり発熱を伴うこともあります。

戦後大流行しましたが東京五輪が開かれた1964年ごろを境に減少し1970年代にはほとんど見られなくなりました。しかし最近再び、日本国内で被害例が報告されるようになってきました。

トコジラミは元々欧米が起源と言われており、昨今のインバウンドの増加によって来日観光客の荷物や衣服などを通じて日本に侵入したのではないかと言われています。

欧米ではペストのようにトコジラミには過敏で、友人の一人もバックパックでスペインを旅行中にトコジラミに刺されたため宿で被害を訴えたところ、宿の宿泊者やスタッフに来ているものやバックパックなどすべてを剥ぎ取られて煮沸消毒され、自身も熱いシャワーを浴びせられたといいます。それくらい欧米人にとっては身近で厄介な害虫ということなのでしょう。

トコジラミの生態は?

トコジラミは気温25度、湿度60%以上の環境を好み、春先から夏のピークに向けて活動を始め繁殖します。日本では冬でも暖房や加湿器が完備され室温が一定に保たれている環境ではトコジラミの活動は収まらず繁殖します。

夏をピークに1日に5~6個生涯に200~500個の卵を産み、卵の大きさは1.2ミリ程度と非常に小さいため注意して探さないと肉眼で見つけるのは困難です。

卵から成虫になるまでの時間や成虫の生存期間は温度や湿度によって変化しますが、気温25度の場合、卵は約5日で孵化します。卵から成虫になるまでの期間は約40日です。しかし気温18度では125日、15度では236日かかるという報告もあります。成虫の寿命は気温20度程度の場合は9~18カ月です。ただし、27度では3~4カ月と短くなります。つまり温かい場所を好む生き物といえます。

通常は丸く扁平で平たく、押しつぶされたような形をしています。血を吸うと体は濃褐色となり丸く大きく膨れ上がります。家の中では畳の隙間はもちろん、ベッド木部の隙間、マットレスの縫い目、寝具の縫い目、家具類の継ぎ目、障子やカーテンの継ぎ目、柱の穴などの隙間に生息します。暗くて狭い隙間に潜んでいることが多く、コンセントの内部で見つかった例もあります。

トコジラミは暗くなると隙間から這い出してきて活動を開始します。吸血対象は人間のほか、ペットの犬や猫、それに鳥です。蚊と同じように体から放出される熱や二酸化炭素に引き寄せられてターゲットに近づきます。

トコジラミは動物の血液のみを栄養源とするので、産卵前のメスだけが吸血する蚊と違って、吸血しなければ生きていけない生物です。トコジラミは蚊のようにメスが産卵のために吸血するのと違いオスも吸血します。

また血液を栄養源とするのは孵化後から成虫に至るまで変わらず、幼虫であっても人間やペットから吸血します。吸血後や光が当たるとすみやかに隙間の暗がりに戻って潜みます。

またトコジラミとの近縁種にネッタイトコジラミがいます。主に人間の血を吸いますが、日本国内では半世紀以上確認されていませんでした。

ところが近年、沖縄県や西日本地方の一部でも発見され、国内でも今後は温暖化の影響を受けて繁殖域が広がるのではないかと懸念されています。ネッタイトコジラミは熱帯や亜熱帯に生息しており、トコジラミと比べて寒さに弱く、トコジラミよりもやや細長いことが特徴です。しかし沖縄県では冬の室内でも見つかっています。

トコジラミに刺されてしまった時には?

トコジラミに吸血されかゆみが出たら、抗ヒスタミンの外用薬を患部に塗布します。アレルギーによる反応なので、すぐにかゆくなると人と、1〜3日してかゆくなる人がいます。

かゆみを我慢できず掻いてしまうと肌を傷つけ、かゆみの範囲が広がる可能性があります。かゆみがひどい場合は皮膚科を受診してトコジラミに吸血されたことを伝えましょう。

トコジラミを見つけたら?

トコジラミは暗くなってから活動を始めます。人が寝静まった深夜や朝方に吸血するため、普段寝る場所周辺の狭くて暗く温かい場所に潜伏しています。

具体的には、就寝中の人を吸血しやすいベッドや布団を敷く場所の周辺、カーペットの下に潜む傾向があります。トコジラミは吸血後、墨汁色の糞を排泄し糞は潜伏場所の近くに付着していることが多いため潜伏場所を特定する助けになります。

トコジラミの駆除にはいくつかの方法がありますが、殺虫剤を使った駆除が最も手軽にできる駆除方法でしょう。殺虫剤には直接トコジラミに噴霧するタイプと、トコジラミが出てくる場所にあらかじめ噴霧し、殺虫成分に触れさせるものがあります。ただし最近は、市販の薬剤が効かないピレスロイド薬剤抵抗性をもつトコジラミが増えてきています。

おすすめのトコジラミ駆除剤:トコジラミ ゴキブリ アース

トコジラミに有効なメトキサジアゾンが入っているエアゾールタイプの殺虫剤です。有効成分の入ったマイクロパウダーが害虫の体に密着し駆除することができます。トコジラミが潜伏する狭い場所にも噴射できるアンテナノズルがついています。こちらは医薬品なので薬剤師のいるドラッグストアなどで購入できます。

また殺虫剤が使えない場所ではスチームアイロンやスチームクリーナーの熱でトコジラミを駆除しましょう。トコジラミは熱に弱く50℃×1分で死滅します。

油汚れなどを落とす高温スチームでの駆除(60℃で10分以上)も効果があります。対象範囲に熱を当て駆除します。衣類や布類は、熱湯洗濯(80℃程度で5分)すると良いでしょう。

ただし、壁紙など熱に弱い素材には向きません。事前に熱駆除できる素材や機材かどうか確認してから行いましょう。

この方法は、近くに電化製品があるなど、トコジラミを発見した場所によっては実行できない場合があるため注意が必要です。

トコジラミが布団やマットレス、衣服に付着していることを確認できた場合は、洗濯したり乾燥機で熱を加えたりして駆除をします。大きなものや大量に繁殖したものは大型洗濯乾燥機のあるコインランドリーを使うか、または廃棄することを検討したほうがいい場合もあります。

なお、掃除機で吸い取るのは避けた方がいいでしょう。というのも家庭用の掃除機は吸引力が弱いことがあるため吸引後も中で生き残ったり、サイクロン式の場合は処理が大変になったりするためです。

また梅雨時期であれば布団乾燥機を高温の「ダニ退治」の設定にして使用するのもおすすめですが、一時的には退治できたように見えてもトコジラミは温度の上がらないところに”避難”している可能性もありますから最終的には梅雨明けになったら天気のいい日に炎天下で50℃以上になる場所を探して天日干しをするかコインランドリーの大型乾燥機を利用した方がいいでしょう。

トコジラミを持ち帰らないために

外からトコジラミを持ち帰らないためには、宿泊施設での居室の確認が重要です。まずはトコジラミが潜みそうなベッド周辺や押し入れ、布団を敷く場所周辺にトコジラミの血糞跡や虫がいないか調べましょう。

また荷物の中にトコジラミが潜んでしまう可能性があるため、宿泊先では荷物を直に床に置かず、大きなビニール袋などに入れてトコジラミが上がってこないようにすることも一つの方法です。

トコジラミの卵や幼虫は非常に小さいため、どんなに注意しても肉眼では見落としてしまうこともあります。そのため心配な場合は外出時に着用した衣類は袋に入れて封じておき、帰宅後はすぐに洗濯し乾燥機の高温でしっかり乾燥させてから収納しましょう。自宅に乾燥機がない場合にはコインランドリーを利用する方法もあります。

 いずれにしてもトコジラミは常に身の回りにいるものと考えて警戒することを心がけることが肝心です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました