三菱UFJ銀行が振込手数料を大幅値上げ
三菱UFJ銀行は2023年10月2日から、窓口やATMでの他行向けの振込手数料を値上げする方針を固めました。それは以下の通りです。

店頭の窓口では3万円以下の振込の場合、594円→990円と396円の値上げになります。ATMの場合では現金で振り込む場合、3万円以下では374円だったものが一気に880円と506円もの値上げになります。3万円を振り込むのに500円以上取られるのはさすがに痛いですね。
一方でネットを使った場合は3万円以下の場合は据え置きです。確かに銀行窓口では受付や事務処理をする人の人件費、店舗の家賃など経費がかかるのは理解できます。それにしても…。
私はもう銀行振込自体をほとんどしなくなっているのと、どうしても必要な場合でもネットバンクやPayPalなどを使っているためにあまり関係がないといえばそうなんですが、まだキャッシュレスが浸透しきっていない首都圏でも郊外部では現金が必要な場面ってまだあるんですよね。
それにしても窓口とネットバンクで6.4倍の差が出るとなると、ネットバンクがうまく使えない高齢者には厳しいかもしれません。
別の例ですが、新型コロナ感染症のワクチン接種でも家に接種券が郵送されてきたものの接種の予約は電話かネットと言われ、窓口にいくら電話しても混雑して繋がらずに、「孫にやってもらったわ」というお年寄りが身の回りにもたくさんいました。確かにネット予約の画面も行政が主導しているせいかとてもわかりにくかったのも確かです。
もうお金のない高齢者はお客じゃない!?
銀行振込の手数料が高いなら、10万円以下なら無料で送金できる「ことら送金」を使えばいいじゃないかと書いているネット記事も見かけますが、ネットバンクが使えないという人にとってはスマホアプリを使った「ことら送金」だって同じことです。
今では60歳以下の比較的若い世代にとってスマホは生活に必需のツールなので「スマホでやればいいじゃん」と気軽に言いますが、高齢になって小さな字が読みにくくなり指先が震えてスマホ画面のタップが思うようにできない人にとってスマホのハードルは高いのです。
銀行側もスマホで操作してくれれば10万円まで送金はタダです」と言っていますが、それは銀行側の都合だけで「窓口業務が発生しないならいいですよー」と言っているだけで預金者の都合を考えているわけではありません。
詰まるところ、銀行はもう預金者には窓口にもATMにも来て欲しくないのです。来られれば接客だってしなければいけないし現金も数えないといけない。ATMに現金を補充するのだって警備会社の職員でそのためにはお金がかかります。待たせる場所も用意しないといけないし手間とお金がかかることばかりです。
かつて銀行は優良企業の代名詞で、新卒の就職志望先にはメガバンクがズラリと名を揃えたものでした。しかしバブルの崩壊後、「銀行は晴れた日に傘を差し出し、雨の日に傘を取り上げる」と言われるように、お金がある人には融資したいと思っており、お金がない人にはできるだけ融資をしたくないというのが本音です。自分たちの都合が最優先されるのは”悪しき日本の大企業あるある”といえます。
私が口座を持っている大手都市銀行は数年前から紙の通帳を廃止しようと躍起になってきました。確かに私のようにロクに資産もなく銀行にとって儲けにならない契約者に”維持にお金のかかる”通帳を持たせておくことは不合理なわけです。
だから「これからは紙の通帳を使い続ける人からは手数料をとります」とメールが来ました。私は紙の通帳に何の未練もなかったのですぐに電子通帳に切り替えましたが、特に得をしたわけではありません。損をしなかっただけです。
今では住宅ローンなどでお金を借りる時以外は銀行のお世話になることはありません。お世話になるのは各種料金の銀行引き落としだけです。
いや銀行引き落としも今はほとんどがポイントの付くクレジットカード払いになっていますから純然たる銀行引き落としは銀行に返済する住宅ローンくらいです。つまりもうほとんど銀行など必要ないわけです。そんな時にまた切り捨てられようとしているのが高齢者というわけです。
1回500円以上値上げされることも
一回の振り込み手数料が1,000円近くなったら、それだけでランチが食べられる金額です。でも振り込みで1,000円払ってもお腹が膨れるわけでもありませんし、預金が増えるわけでもありません。そもそも銀行預金の今の金利などあってないようなものです。

バブルだった1990年頃には定期預金の金利が6%近くありました。あの頃には「いくら貯金があったら働かなくても食べていかれるか?」なんて計算をよくやったものですが、今ではその金利も年利で0.003%などというほとんど0に近くなってしまいました。
仮に1億円を1年間銀行に預けても利息は3,000円にしかなりません。1年間でですよ。とても食べていける額ではありません。それこそ銀行の振り込み手数料で消えてしまいそうです。
30年前なら1億円を銀行に預ければ年間に570万円の利息がついていました。これなら贅沢はできなくても食べていくことだけはできそうですがいまは昔の話です。
こんなことが続けばそのうちに銀行の自分の口座に入金・出金するのにもお金がかかる時が来るのではないかと思っています。既に一部では硬貨を含む入出金に手数料を設けている金融機関もありますね。
そうなればもう完全に銀行や金融機関とは手を切らざるを得ないですね。今の銀行が契約者に行っているように、「無駄なものに払うお金はない」のですから。
まとめ
銀行は自分たちを守るためだけにコスト削減やリスク管理ばかりに注力し、本質的な業務をおろそかにしていると気づいた時には「銀行は必要ない」という状態になるかもしれないということです。
かつて日本の歴史的な実業家の渋沢栄一は「幸福になりたいのであれば,夢をもちなさい。」と言いました。その夢を叶えるために日本に第一銀行を設立しました。
今や銀行はその本分を忘れて自己防衛のためのリスク管理ばかりに躍起になっています。本文を忘れた事業など虚業であって実業ではありません。
米国で銀行の破綻が続いていますが日本がそうならないためには顧客のためのよりよいサービスとは何かについて、初心に戻って考えることが重要なのではないでしょうか。
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